医療に携わる看護師は現場で苦しい思いをすることはしばしばあるでしょう。自分の看護スキルが足りなくて歯がゆい気持ちに苛まれる場合もありますが、スキルがあってもどうしようもないという気持ちを抱いてしまうことも少なくはありません。特にその状況が著しいのがターミナルケアであり、もう余命幾ばくもない患者に対してQOLを重視した看護を行うにはどうしたら良いのかと悩むことが多いのが現状です。
医療の発達によって余命を延ばすことができるようになった結果として、ターミナルケアの難しさは高まる一方であり、看護師には困難な課題として降り掛かっています。特にベテランの看護師でも悩むことが多いのがもう意思疎通すら取れなくなってしまった患者のQOLをいかにして確保するかという課題です。家族の話を聞いてその意志に従うのは一つの方法ですが、本当にそれを本人が望んでいるのかどうかわからないままに行わなければならないのは苦しくなってしまうでしょう。本当に本人に意志があるかどうかもわからない状態になってしまっても看護を続けなければならないのが辛くなることも多くあります。
しかし、それでもなお最善を尽くすことが求められているのが医療の現状であり、看護師になってターミナルケアを担うようになると頭を抱える課題となっています。その状況に対してプロトコルを定めることによって看護師のメンタル面を守る試みを行っている病院も増えてきており、負担は軽減される方向に向かいつつあります。